#商標の種類・具体例
公開日:
2025/12/17
更新日:
2026.07.01

ECサイトやネットショップの開設は、今や誰でも気軽に挑戦できる時代になりました。
ただし「ネットでビジネスをする」ということは、同時に――
「世界中からあなたのお店が見られている」「商標権侵害のリスクに常にさらされている」という現実も背負うことになります。
「知らなかった」では済まされないのが商標の世界。
だからこそ、ECサイト運営者が必ず押さえておくべき商標のポイントを、分かりやすく解説します。

ECサイト運営者が商標登録で最も躓きやすいポイント、それが「区分」の選択です。
実店舗であれば「看板・お店の名前」と「商品・パッケージ」の違いは直感的に分かりますが、Web上では同じロゴが表示されるため、この2つの権利範囲が混同されがちです。
ECビジネスを守るには、以下の2つの異なる視点で区分を検討する必要があります。
自社で開発した商品そのものに付けるブランド名を保護する場合です。これは「何の商品か」によって区分が細かく分かれます。
アパレルブランドなら:第25類(被服)
スイーツや食品なら:第30類(菓子・パンなど)
コスメ・化粧品なら:第3類(化粧品)
商品を品揃えし、お客様に販売する「お店の看板(屋号)」を保護する場合です。
これは、商品の種類に関わらず、第35類(小売等役務)という区分が必要です。つまり「商品を並べて販売するサービス」に対する権利となります。
■セレクトショップ・仕入れ販売の方
他社商品を仕入れて売る場合、商品自体の商標権はメーカーにあります。そのため、ご自身は「お店の名前」を守るために第35類(小売等役務)の登録が必要となります。ここを取り逃がすと、全く同じ名前のネットショップを他社に作られてしまう危険があります。
■D2C・オリジナル商品のみ販売の方
「商品区分(第25類など)」さえ取れば安心と思われがちですが、万全を期すなら「商品区分」+「第35類」の両方を押さえるのが安全です。なぜなら、商品区分だけでは「その名前でお店を開く権利」までは完全にカバーしきれないケースがあるからです。ブランドの成長に合わせて、商品とショップの両面から権利を固めることをおすすめします。
ECサイト運営者にとって難しいのは、商標の「区分(カテゴリ)」選びであると考えます。
商標登録では、「その名前を何に使うか」を指定する必要がありますが、ECサイトの場合は以下の2つの視点が必要です。
(※D2Cとは「Direct to Consumer」の略で、メーカーやブランドが仲介業者を介さずに消費者へ直接商品を販売するビジネスモデルのこと。)
Amazonや楽天などのモール型ECに出店する際、商標登録の有無は「店舗の戦闘力」に直結します。特にAmazonが提供する 「Amazonブランド登録(Amazon Brand Registry)」 は、商標登録済みのセラーだけが利用できる特別な仕組みです。
この制度を活用することで、ブランドを守る「防御」と、売上を伸ばす「攻め」の両面を強化することができます。
【鉄壁の守り】相乗り出品・模倣品の排除
自社の商品ページに無断で乗っかる「相乗り出品者(転売屋)」や、粗悪なコピー品を販売する業者に対し、プラットフォームを通じて迅速な排除要請が可能になります。不当な価格競争に巻き込まれず、適正な利益を守り抜くことができます。
【ブランド統制】ページ編集権限の独占
商品情報のオーナーシップが確立され、第三者による画像の変更や説明文の改ざんを防止します。常に正確で魅力的なブランドイメージを顧客に伝え続けることが可能です。
【売上の最大化】専用マーケティング機能の解放
「スポンサーブランド広告」や、画像・動画を駆使した「A+コンテンツ」など、コンバージョン率を高めるための専用ツールが利用可能になります。
もはやECモールにおいて、商標登録は法的保護のためだけのものではありません。競合他社に埋もれず、自社ブランドの売上を最大化するための「必須インフラ」として、早期の登録が推奨されます。
参照:Amazonブランド登録とは
自分のブランドを守るだけでなく、「他社の商標を踏まない」配慮も重要です。ECサイトでは、SEO対策や検索流入を狙うあまり、以下のような行為をしてしまうケースがあります。
・NG例1— 商品タイトルに「〇〇(有名ブランド)風」「〇〇タイプ」と記載する。
・NG例2— 検索用キーワード(メタタグやハッシュタグ)に、競合他社のブランド名を入れる。
これらは商標権侵害や、不正競争防止法違反に問われる可能性があります。「検索に引っかかりやすくしたい」という軽い気持ちが、アカウント停止や損害賠償請求につながるリスクがあることを認識しておきましょう。
Shopifyなどを利用して海外向けに商品を販売する際には、注意点があります。
それは―― 日本の商標権は日本国内でしか効力を持たない ということです。
もしアメリカや中国、台湾などで販売を始めた際に、現地の第三者が先にあなたのブランド名を商標登録してしまうと、その国ではブランド名を使えなくなる可能性があります。実際には「商標ブローカー」と呼ばれる、使用の意思がないにもかかわらず他人の商標を先に登録し、使用料や買い取り料を不当に要求する悪質な業者による被害も多発しています。
参照:日本弁理士会|知的財産関連の悪質商法にご注意!商標・著作権ブローカー
https://www.jpaa.or.jp/intellectual-property/protect/caution
本格的に海外進出を目指すのであれば、販売先の国でも商標出願を検討することが不可欠です。ブランドを守るための備えは、グローバル展開の第一歩となります。
(※Shopifyとは、世界175か国以上で利用されているクラウド型のECプラットフォームで、誰でも簡単にネットショップを開設・運営できるサービスです。)
参照:Shopifyとは? 機能やサービスのまとめ
ECビジネスにおいて、商標は「攻め」と「守り」の要であると考えます。ECサイトを運営するうえで、商標登録は単なるコストではなく、未来の成長を支える投資と考えるべきものです。
①積み上げたブランドの信用を守る(守り)
長年育ててきた名前やロゴを、他社に奪われないようにする。ブランドの信頼は一度失うと取り戻すのが難しく、守るための備えが不可欠です。
②プラットフォームの機能をフル活用して売上を伸ばす(攻め)
Amazonや楽天などのモール型ECでは、商標登録済みブランドだけが利用できる特別な機能や広告枠があります。商標を持つことで、売上拡大のチャンスを最大限に活かせます。
③無用なトラブルを避ける
警告やアカウント停止といったリスクを未然に防ぎ、安心して事業を拡大できる。商標があることで、運営の安定性が格段に高まります。
「サイトが軌道に乗ってから…」と後回しにしていると、人気が出たタイミングで他社に商標を先に取られてしまうケースも少なくありません。せっかく育てたブランドが使えなくなるのは、事業にとって大きな痛手です。だからこそ、早めの商標対策が重要になってきます。
商標は、ブランドを守る盾であり、売上を伸ばすための矛でもあります。攻めと守りを両立させることで、ECビジネスはより強く、安心して成長していけるものであると考えます。

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