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#商標の種類・具体例

商標権とは?具体例、機能、歴史をわかりやすく解説

公開日:

2025/04/04

更新日:

2026.06.30

街を歩いているときに見かける店舗のマーク、ネット検索をしているときに使っているPCや携帯に入っているメーカーのマーク、コンビニで購入したペットボトルに記載された商品名等々。私たちの生活の至るところにあるこのような会社名、商品名、サービス名やブランド名を表したロゴやマーク、これを商標といいます。

私たちは、この商標を見て、「どこの会社が作ったものであるか」とか「あのブランドの商品だな」と思いながら、商品やサービスを購入しています。

では、消費者が、A社のロゴ(もしくはそれにそっくりのロゴ)が入った商品を購入したが、実際はA社が製造や販売した商品ではなかったとしたらどうでしょうか。

購入した消費者は騙されたと思う可能性がありますし、A社にとっても信用の失墜や経済的損失が生じる可能性があります。

このようなことを防ぐために、自社の会社名や店名、ブランド名などを「他人に使用されないようにすること」が必要になります。そのための権利が商標権です。

本記事では、商標権の内容や登録方法などについて身近な例を踏まえながら、わかりやすく説明します。

商標権とは?

商標とは、自分(自社)の会社名やブランド名、自社が取り扱う商品やサービスの名称などを表すために用いられる文字や、ロゴ、マークなどのことを言います。そして、その商標は、自社の商品等と他社の商品等を区別するために用いられます。

そのため、商標を「他人に使われないように」することが大事です。

自分の商標を他人に使われないようにする権利を商標権といいますが、まずは、商標権とは何か具体的にご説明します。

商標を独占的に使用できる権利のこと

商標権とは、「商標法に基づいて、商標を独占的に使用することのできる権利」を言います。また、「商標」とは、文字、図形、記号、立体的形状、色彩、音等をいいます。

商標権は、商標を特許庁に出願し、審査官の審査を経て、商標登録を受けることで取得できます。出願手続きは専門家に依頼することが一般的ですが、出願人本人が手続きをすることも可能です。

商標権者は、登録された商標を独占的に使用できます。そのため、同じ商標や類似する商標(同一または類似する商標を同一又は類似する指定商品・役務に使用すること)を無断で使用した他人に対して、商標の使用禁止や商標を付した商品の廃棄等を求めることができます(商標法第36条第1項)。また、商標を無断で使用している者に対し、損害賠償請求を行うこともできます(商標法第38条)

なお、商標権の存続期間は、設定登録の日から10年間ですが、以降も10年ごとに更新することができます。更新を繰り返すことで、半永久的に商標権を存続させることができます。設定登録料は、10年分を一括して支払うこともできますし、5年分ずつ分納することも可能です(分納のほうがやや割高です)。

商標の機能

商標は、商品やサービスに使用し続けることで以下のような機能を発揮します。

(1)出所表示機能

商品やサービスに付された商標(ロゴやマーク等)が、一定の出所(どこの会社から出ているか)を表示する機能です。この機能により、商標を見るだけで、消費者は、どこの会社が提供している商品・サービスであるかを把握することができます。

例えば、スマートフォンに付されたリンゴのマークや「iPhone」という名称により、アップル社の製品であることがわかる、ということです。

(2)品質保証機能

同じ商標が使用された商品やサービスには、同じ品質であることを保証する機能です。長年その商標を使い続けることで、商標そのものに、商品やサービスに対する信用が含まれていきます。

例えば、「HERMES」というロゴの入ったバッグを見ただけで、多くの人は、そのバックが、優れた品質を保持しているであろうと信用しますし、メーカー側も、ロゴを入れる以上、顧客の信頼を裏切らないよう、品質を保とうと努力するのです。

(3)宣伝広告機能

商標を手掛かりとして、消費者に購買意欲を起こさせる機能です。CMや新聞で自社の商標を付した広告をすることで、会社名やブランド名、商品名を広く消費者に認知させることができるます。

 参考:商標の機能と商標登録|日本弁理士会 

日本における商標の歴史

商標法は明治時代に制定された商標法条例が基礎となっていますが、それ以前から、商標と同様の機能を持つものが存在しました。

鎌倉時代には、商店の名称を現わす「屋号」などが使われていましたが、これも一種の商標といえるでしょう。

近年では、経済のグローバル化や企業活動のボーダーレス化に伴い、商標法も何度か改正されています。

令和6年には中小・スタートアップ企業等による知的財産を活用した新規事業でのブランド選択の幅を広げる必要性や、国際的な制度調和の観点から、 コンセント制度が導入されました。

このような法改正により、商標に関して、社会のニーズに合わせた柔軟な運用ができるようになりました。

参照:産業財産権制度125周年記念誌―産業財産権制度この15年の歩み 第3章 制度改正による時代への対応 | 特許庁

商標権の対象・有名な事例

商標の種類は、文字や図形など様々です。ここでは、著名な商標を参考にしながら、商標の種類について見てみましょう。

商標の種類

商標の種類は、文字、図形、記号、立体的形状やこれらを組み合わせたもののほか、動きやホログラム、色彩、音や位置といったものがあります。

参考:商標の種類と利用目的 ・具体例を解説

これまでに説明したとおり、商標は、商品やサービスに使用して機能を発揮しますので、商標出願の際に「その商標を使用する商品や役務(指定商品・指定役務)」も定めておきます。

(役務とはサービスのことをいいますが、ここでは商標法の記載にしたがって“役務”と表記します。)

なお、商標法に定める「商標の使用」の主なものは以下のとおりです。

① 商品や役務に商標を付す行為
② 商標を付した商品や役務を販売、展示、輸出、輸入、ネット上で提供する行為
③商品や役務に関する広告、価格表、取引書類に商標を付して展示、譲渡、ネット上で提供する行為

有名・身近な商標の例

みなさんも良く知っていると思われる有名な商標について見てみましょう。

登録第2681252号ほか 権利者:ソニーグループ株式会社

これは文字商標の例です。

アルファベットだけでなく、ひらがなやカタカナ、漢字、数字などの文字のみからなる商標を文字商標といいます。

登録第3085606号ほか 権利者:ヤマトホールディングス株式会社

これは、図形商標の例です。

写実的なものから図案化したもの、幾何学模様等の図形のみからなる商標をいいます。

登録第1688700号 
権利者:マクドナルド インターナショナル プロパティーカンパニー リミテッド

これは、記号商標の例です。

記号商標は、文字や図形ではなく、記号や符号を用いて構成される商標をいいます。

 

登録第4157614号 権利者:株式会社不二家

これは、立体商標の例です。

立体商標とは、立体的形状からなる商標をいいます。

登録第5804316号 権利者:株式会社ワコール

これは動き商標の例です。

つぼみのような形状のものが、花が開くようにほどけて、最後は、メーカーのロゴになるというものです。

登録第5908592号 権利者:株式会社ジェーシービー

これは、ホログラム商標の例です。

クレジットカードの表面に、見る角度により表示された内容が変わるデザインが施されています。その、見る角度により表示される内容が変わるデザイン自体が商標となっています。

登録第5930334号 権利者:株式会社トンボ鉛筆

これは、色彩のみの商標です。

3色の並びが商標となっています。この商標権を取得しているメーカーの消しゴムなどに使用されているので、見たことがある方も多いのではないでしょうか。

登録第5804299号 権利者:久光製薬株式会社

音楽や音声も音商標として登録できます。

CMに使われているサウンドロゴです。音階と音声で構成されています。

登録5858802号 権利者:株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント

これは、位置商標の例です。

商品等に付する位置が特定されている商標です。実線で表されているゲームコントローラーの右上部の△、□、◎、×のボタンが商標です。

商標登録が認められないケース

他人が先に出願した商標と同一又は類似する商標、異なる商標権者が類似する商標をそれぞれ使用することによる出所の混同を防止するため、他人が先に出願した出願中の商標および登録商標と同一または類似する商標は登録を受けることができません。

商標登録により、商標権者には登録商標を独占的に使用する権利が付与されることとなりますので、独占使用に適さない商標は登録を受けることができません。商標登録を受けられない例としては主に以下のようなものがあります。

(1)自己と他人の商品・サービスを区別することができない商標

商品や役務の「普通名称」「慣用名称」「その商品や役務の品質等の表示」を普通に表示する名称のみからなる商標は、識別力がないため商標に、商標権を付与して商標権者に使用を独占させると第三者の使用が制限されることとなるため、登録を受けることができません。

例えば、「商標:りんご、指定商品:りんご」「天然水」のような一般的な名称を、りんごを使ったお菓子や飲料に使用する商標として登録できません。しかし、携帯電話を一般的に「アップル」とは呼ばないので、携帯電話に使用する商標として「アップル」と登録することは可能です。

(2)公共性に反する商標

例えば、日本や外国の国旗、国際機関の標章、赤十字等の標章等、国や地方公共団体や非営利公益事業を表示する標章などといったものと同一または類似の商標は登録を受けることができません。

また、商標の構成自体が、非道徳的、卑わい、差別的なもの、他人に不快な印象を与えるようなものも、公序良俗に反するものとして登録を受けることはできません。

(3)他人の肖像、他人の氏名、著名な芸名等を含む商標

他人の肖像や氏名は、その他人が著名人であるか否かを問わず、当人の承諾を得ない限り、商標登録を受けることができません。出願人自身の氏名や名称等であっても、他人の氏名や名称等に当たる場合も同様です。なお、「他人」とは現存する者をいいます。

防護標章登録制度とは?

商標権の効力は類似する範囲まで及ぶので、他人が指定商品・指定役務と同一または類似する商品や役務に登録商標を使用することを禁止できますが、指定商品・指定役務と非類似の商品や役務への使用を禁止することはできません。

一方で、登録商標が消費者に広く認識されている著名なものである場合、他人がその著名性に便乗して非類似の商品・役務に使用する可能性があります。

そこで、著名な登録商標を「指定商品・役務と非類似の商品や役務について、他人が商標を使用することから防護するため」に、防護標章として登録を受けることができます(商標法64条)。これを、防護標章登録制度といいます。なお、防護標章は使用を要件としていませんので、3年間継続して使用されていなくても、後述する不使用取消審判の対象にはなりません。

防護標章制度のポイントは以下のとおりです。

  • 著名な登録商標の保護範囲を非類似商品・役務に広げる

  • 使用は要件でないので不使用取消審判の対象にならない

商標権を活用するには

商標は、他人の商品やサービスと区別できるだけでなく、商品やサービスに対する信用を現わすものであるため、事業者にとっては重要な意味を持っています。では、商標を権利化して実際に活用するためにはどうしたらよいのでしょうか。

商標権の侵害に注意

いったん登録された商標は、他人が使用することはできません。他人が勝手に商標を使用したときは、商標権者は、商標を使用した者に対し、その使用の差し止めや損害賠償を請求することができます。また、自己の商標を使用したい他人との間でライセンス契約等を締結することで、商標の利用を許可する代わりに収益(ライセンス料)を得ることも可能です。

ここで注意しなければならないのは、その商標が登録されていることを知らなくても、無断で使用してしまうと、差し止めや損害賠償を受けてしまうということです。また、全く同一の商標ではなく、類似の商標であっても、商標権の侵害に当たってしまう可能性があるので、自己の商品に商標を使用するときは、他人が同一または類似の商標を登録していないかどうか、

特許庁の商標検索 を利用したり、専門家に確認するなどして、事前に調査することが大切です。

参考:商標権が侵害されたと思ったときの対処方法

商標権を活用する上での注意

商標は商標は、実際に使用する予定のある分野で登録することが求められます。

当初は使用予定があると思って登録したものであっても、継続して3年以上使用されていない商標については取り消されてしまう可能性があるので注意が必要です。

また、10年に1回の更新手続(登録料を分納した場合は5年に1回)を忘れてしまうと、商標権が消滅してしまう可能性がありますが、一旦消滅しても、そこから6か月以内であれば更新可能ですし、例え消滅しても再度出願し登録を受ける手順をとれば存続が可能です。

さらに、日本で商標として登録されていても、海外で使用するとその国における誰かの商標権を侵害する可能性があります。海外で商標を使用するときには、同一また類似の商標が登録されていないか調査することが重要ですし、場合によっては、その国において商標として出願する手続きが必要です。

商標は上手に利用することで事業を行う上での武器になる

商標は、商品やサービスを販売するものにとって、重要な役割を果たしています。

単に、自社の商品やサービスを他社のものと区別するだけでなく、商品やサービスに対するイメージ(品質や信頼性など)を消費者に広く伝えることができます。(ブランド価値の向上)など。商標は必ずしも登録しなければならないものではありませんが、上手に活用することで事業・サービスの差別化に効果的に活用できます。

参考文献(全体につき)2019年度_知的財産権入門 第4節 商標制度の概要 | 特許庁

商標権に関するよくある質問

Q1. 商標権とは何ですか?
A. 商標権とは、自社の商品・サービスに使用するロゴ・名称・マーク(商標)を独占的に使用できる権利です。特許庁への出願・登録によって取得でき、登録後10年間有効(更新も可能)です。

Q2. 商標登録しないとどうなりますか?
A. 商標登録をしていない場合、同じまたは類似の商標を他社に先に登録されてしまうリスクがあります。その場合、自社ブランドで使い続けることができなくなる可能性があります。

Q3. 商標権を侵害するとどのような責任が生じますか?
A. 商標権を侵害した場合、権利者から差止請求・損害賠償請求を受けることがあります。また、刑事罰(懲役・罰金)の対象にもなり得ます。

Q4. 商標権が保護される範囲はどこまでですか?
A. 商標権の効力は、登録した商標と同一・類似の商標を、指定した商品・サービス区分(同一・類似するもの)に使用する行為に及びます。区分が異なる場合は原則として効力が及びません。

Q5. 商標登録にはどのくらいの費用・期間がかかりますか?
A. 出願から登録まで通常6〜12ヶ月程度かかります。費用は区分数によって異なりますが、1区分あたり特許庁への印紙代として出願時約3,400円+(区分数✕8,600円)が必要です。

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