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#拒絶理由通知の種類

拒絶理由通知の商標法第3条1項柱書とは何か?

公開日:

2026/01/23

更新日:

2026.06.30

商標を出願した後に届く拒絶理由通知の中で、適用条文の欄に

「第3条第1項柱書(使用についての疑義)」と記載されることがあります。

これは、どのような場合に指摘され、実際に受け取った際にはどう対応すべきなのか――

そのポイントを分かりやすく解説していきます。

1. 商標法第3条1項柱書とは何か?

まず、商標法第3条第1項の冒頭(号が始まる前の部分)には、次のように定められています。「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。」この部分を 「柱書(はしがき)」 と呼びます。ここには、商標制度の大原則である

「商標登録は、自分のビジネスで実際に使う(または使う予定がある)人に認められる」

という考え方が示されています。

参照:特許庁|二、第3条第1項柱書https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/kijun/document/index/04_3-1-hashira.pdf

では、なぜこの拒絶理由が届くのか。
以前はこの条文が適用されるケースは稀でしたが、近年は次のような場合に頻繁に指摘されるようになっています。

1、指定商品・役務の範囲が広すぎる

一つの区分の中で、関連性の低い商品・役務を大量に選択していると、
「実際にその範囲で事業を行う意思があるのか」という点を審査側が疑問視することがあります。
特に、類似群コードが多数にまたがるような指定をしている場合、権利の独占範囲を不自然に広げようとしている と判断される可能性が高まります。
結果として、補正指令や拒絶理由の対象になりやすく、出願人にとっても手続き負担が増える傾向があります。

2、小売等役務(第35類)の範囲が広すぎる

第35類は「小売・卸売サービス」を指定できる便利な区分ですが、「総合小売」「あらゆる商品の小売」など、実態以上に広い範囲を指定してしまうと不自然な印象を与えます。
本来は、取り扱う商品カテゴリー(食品、衣料、化粧品など)をある程度絞って指定することが望ましく、実際の事業内容と乖離した広範囲な指定は、審査での指摘や補正の対象になりやすいポイントです。

3、個人の出願なのに事業規模が不自然

個人名義の出願であるにもかかわらず、例えば、銀行業・鉄道業・通信インフラ事業など、通常は大企業や特殊法人が担うような大規模な役務を指定している場合、審査側は「本当にその事業を行う意思があるのか」を慎重に確認します。

個人事業として現実的に実施できない内容を指定していると、権利の独占目的とみなされ、補正を求められる可能性が高くなります。

2. 事前の対策――拒絶理由通知を回避する方法

これらの指摘は、出願前にいくつかのポイントを押さえておくことで、拒絶理由を受けるリスクを大きく下げることができます。

① 指定商品・役務を絞り込む(類似群コードの確認)

特許庁の審査基準では、1つの区分内で「類似群コード」が23個以上の場合、自動的にその区分の指定商品・役務について、使用意思に疑義があると判断します。本当に取り扱う予定のあるものに限定し、不要な商品役務は含めないようにしましょう。

② 小売等役務(第35類)の選択に注意する

第35類の「小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定する場合、何でも選ぶのではなく、自分のビジネスに関連する商品分野(例えば:衣料品、飲食料品など)に絞ることが重要です。第35類は特に疑義が出やすいので、慎重な選択が必要です。

③ 出願人の設定を適切に行う

法人の事業であれば、個人名義ではなく法人名義で出願するのが基本です。もし個人で出願し、後に法人化する予定がある場合は、その旨を説明する準備をしておく必要があります。

※ 使用意思に疑義があるかどうかの審査運用は、特許庁発行の商標審査便覧に記載されていますので、併せて確認してください。https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/binran/document/index/41_100_03.pdf

3. 事後の対策――拒絶理由通知を受けた際の解消法

もし拒絶理由通知を受けてしまっても、適切に対応すれば登録の可能性は十分あります。主な解消方法は以下の3つです。

方法1:手続補正書で指定商品・役務を削除する

最も簡単で確実な対応方法です。
審査官から「範囲が広すぎる」と指摘された商品・役務のうち、現時点で使用予定のないものを削除し、類似群コードの数を絞り込みます。
これにより、「出願人のビジネスの範囲内で使用される商標である」 と判断されやすくなります。

方法2:「商標の使用又は使用の意思を確認する書面」を提出する

商品・役務を削除したくない場合は、意見書とあわせて 使用実績や使用予定を示す証拠の資料を提出します。

  • 既に使っている場合——その商標が付された商品のカタログ、パンフレット、ウェブサイトのスクリーンショット、領収書、広告などの証拠資料を提出します。

  • これから使う予定の場合——「事業計画書」を提出します。具体的に「いつ頃」「どのような形態で」使用を開始する予定かを具体的に記した書面(代表者の署名・捺印が必要な場合もあります。)を作成します。

※意見書=審査官の拒絶理由通知に対し、登録を求める主張(反論)をする書類

※手続補正書=拒絶理由を解消するために出願内容(主に指定商品・役務)を訂正・修正する書類

方法3:小売役務(第35類)に関する具体的な証明を行う

第35類の広範な小売役務で指摘を受けた場合は、次のいずれかが必要になります。

①実際にその広い範囲の商品を扱う店舗(スーパーや大規模ECサイトなど)を運営している証拠②あるいは、扱う商品分野を特定の範囲に絞る補正

35類は特に「使用の疑義」が出やすいため、実態に即した説明が重要です。

まとめ

商標法第3条第1項柱書の拒絶理由は、いわば 「商標を登録だけして使わない状態」を防ぐためのチェック機能 です。特許庁からの指摘は、裏を返せば

「あなたのビジネスの実態をもう少し教えてください」という確認に近いものです。実際に事業として使っている、あるいは使う予定がきちんとあるのであれば、落ち着いて事業実態を示す資料を整えることで、十分に解消できる拒絶理由です。対応に不安がある場合は、事業計画書の内容を整理したうえで、弁理士などの専門家に相談することをお勧めします。

特許庁の公式サイトに、拒絶理由通知の概要や具体的な対応方法が詳しくまとめられています。詳細をご確認いただく際は、こちらの情報もあわせて参照してください。

参照:特許庁|商標の拒絶理由通知書を受け取った方へ

https://www.jpo.go.jp/system/basic/otasuke-n/shohyo/kyozetsu/

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