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#商標の基礎知識

登録済みの商標に新たな区分や商品・役務を追加する方法

公開日:

2025/10/29

更新日:

2026.06.30

事業の成長や多角化に伴い、既に登録している大切な商標の権利範囲を広げたいと考えるのは当然の経営判断です。例えば、アパレル事業で成功を収めた企業が、新たに飲食事業やITサービスといった異なる分野に進出する際に、知名度のある既存の登録商標をこれらの新分野でも使用したいをと考えるのは良くあることです。

そこで、本記事では既に登録されている商標に新たな区分や商品・役務(サービス)を追加し権利範囲を拡大する方法について分かりやすく解説します。

登録済みの商標の権利範囲を広げることは可能か?

残念ながら一度登録された商標に後から新たな区分や商品・役務を追加することはできません。商標はそれに紐づく指定商品・指定役務が一体となって審査し登録されるため一度登録された権利範囲を、後から拡大することは認められていません 。

そこで、登録済みの商標の権利範囲を広げるためには、登録商標と同一の商標に追加したい商品・役務を指定して新たに商標出願し、2つの商標登録で権利範囲全体をカバーする方法が考えられます。

⒈ 新たな区分と商品・役務を特定

商標の使用を予定している商品や役務について、商品(1類〜34類)、役務(35類〜45類)の中から該当する区分を選択し、その区分に含まれる商品・役務を指定します。例えば、商標を「飲食物の提供」という役務に使用する場合には、区分は第43類「飲食物の提供及び一時宿泊施設の提供」、役務は「レストランにおける飲食物の提供」「カフェにおける飲食物の提供」などのように、将来、商標の使用を想定しているものを指定しましょう。

この場合、既に登録されている商標の商品・役務と同一又は類似するものを含めると拒絶査定の対象となるので注意が必要です。

⒉ 先行商標調査の実施

日本の特許制度は先願主義を採用しているので、出願を考えている商標に対し同一又は類似の商品・役務を指定して他人が先に特許権を得ていれば登録できません。そこで、追加したい区分や商品・役務において、既に他社が同一又は類似の商標を出願・登録していないか事前に調査する必要があります。この場合、無料の特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」などを利用するとよいでしょう。

参照:特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」 https://www.j-platpat.inpit.go.jp

⒊ 出願書類の作成

先行商標調査で問題なければ、権利化したい区分や商品・役務を指定して商標出願書類を作成します。商標の出願方法は、書面で提出する書類出願とオンラインで出願するインターネット出願があるので、書類出願の場合には定められた様式に従って「商標登録願」を作成し、インターネット出願の場合には、電子出願ソフトサポートサイト※でインターネット出願ソフトをダウンロードし「商標登録願」を作成します。

※ 電子出願ソフトサポートサイト https://www.pcinfo.jpo.go.jp

出願する商標の「商標見本」は、既存の登録商標と全く同じものを使用します。(文字商標の場合は、同じ文字表記)

⒋ 特許庁への出願

商標出願を行う際には区分数に応じて変動する「出願手数料」が必要になりますが、書類出願の場合には特許印紙を出願書類に貼付けし、インターネット出願の場合には現金納付、電子現金納付、口座振替などの支払方法が選択可能です。また、書類出願の場合には別途「電子化手数料」の納付が必要になります。

⒌ 審査

特許庁の審査官が、出願書類の不備などをチェックする「方式審査」を行った後、出願内容が商標法で定めている拒絶理由に該当するか否かをチェックする「実態審査」を行いますが、既に登録されている自社の商標は、審査上は先行商標として扱われます。

⒍ 登録査定・登録料の納付

方式審査及び実態審査をクリアすると特許庁は出願者に対し「登録査定」を送り、出願者が期限以内に区分数に応じた登録料を納付すると、商標の設定登録が行われます。

登録済みの商標と同じ商標を新規出願する際の注意点

・新規出願として扱われる

既に登録されている商標であっても、新たな区分や商品・役務を指定する場合には新規の出願となり、方式審査及び実態審査を最初から行うため時間がかかり、出願手数料や登録料なども通常の新規出願と同様に発生します。この場合、他人の先行商標が存在すれば登録できない可能性もあります。

・存続期間は別扱い

商標権の存続期間は設定登録の日から10年間で、更新手続を行えば存続期間を延長することは可能ですが、既存の商標と新に出願した商標は登録日が異なるため別々に更新手続きを行う必要があります。

・不使用取消審判のリスク

商標権は、登録された指定商品・指定役務及び類似する商品・役務に対して効力が及びますが、新たな区分や商品・役務を指定し登録されても、継続して3年以上日本国内で使用しないと第三者から不使用取消審判を請求される可能性があります。そのため、権利範囲をできるだけ広くしようと、将来的に使用する予定がない商品・役務まで指定するのは避けましょう。

・追加費用が必要

出願手数料や更新登録料などは区分に応じて算出されますが、新規出願で指定する商品・役務が既存の商標の区分と同じ場合であっても別途必要になるので、最初の出願で全ての商品・役務を指定していれば1区分の費用ですむところが2倍の費用がかかります。

・弁理士への相談を推奨

新規出願によって登録済みの商標に区分や商品・役務を追加する際に、その商品・役務が登録済みの商標で指定した商品・役務と類似の関係に該当する場合には新たな出願は不要です。また、新たな出願で商品・役務を指定する際には、類似も含めて権利範囲がどこまで及ぶのかを把握した上で選択しなければなりません。先行商標調査や出願書類の作成なども含めると、無駄な支出を抑制し効果的な商標出願を行うためには、専門知識や経験の豊富な弁理士に相談することをおすすめします。

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