#商標の基礎知識
公開日:
2025/06/24
更新日:
2026.06.30

ビジネスにおいて商品やサービスのネーミングは、企業の「顔」とも言える重要な資産であり、この資産を守る手段のひとつが「商標の取得」です。商標を取得することは単なるブランド名を登録することではなく、事業の信頼と価値を守る重要な投資と言えます。
しかし、商標は一度登録すれば永久に権利が保障されるわけではありません。定期的な権利の更新や、登録情報の変更手続きを適切に行うことではじめて、その効力を維持することができます。
この記事では、商標登録の更新・変更にかかる費用を、「自分でやる場合」「専門家に依頼する場合」それぞれについて理解できるように解説します。

商標登録の更新とは、登録された商標権を維持するために、存続期間が満了する前に更新の手続きを行うことです。商標権は登録日から起算して10年をもって満了しますが、この期間が満了する前に更新手続きを行うことで権利を維持させることができます。更新手続きは何度でも行うことができるため、更新を繰り返すことで、半永久的に商標権を存続させることができます。
商標登録を更新するには、特許庁に所定の手数料を納付する必要があります。金額は特許庁のホームページに掲載されています。(参照リンク①)
以下の表に示すように、10年分を一括で支払うか、5年ごとに分割して支払う(分納)か、選択することができます。
支払方法 | 金額 |
一括納付(10年分一括) | 43,600円 |
分割納付(5年分×2回) | 22,800円×2回 |
一括納付の方がトータルの費用を抑えることができますので、今後もずっと同じ商標を使用する計画がある場合は一括納付を選択することを、一方、数年先にはその商標を使用しなくなるかもしれない場合や直近の出費を抑えたい場合には、分割納付を選択することをおすすめします。
商標の更新料を支払える期間は以下の通りです。期限があることに注意が必要です。
商標権の存続期間満了日の6ヶ月前から満了日まで。
満了日までに更新申請が間に合わなかった場合でも、満了日から6ヶ月間の猶予期間が認められており、この期間に更新手続きを行えば、存続期間は、その満了の時にさかのぼって更新されたものとみなされます。ただし、この期間に申請手続きを行うには、通常の更新料に加えて割増料(通常の更新登録料と同額)が発生します。つまり通常の更新料の倍額を支払わなければなりません。
猶予期間を超えてしまった場合であっても、以下の要件を満たせば、存続期間は、その満了の時に遡って更新されたものとみなされます。
通常の更新料および割増の更新料の支払い
回復手数料(86,400円)の支払い
更新手続きを行わなかったのが故意ではないことの説明
救済手続期間内における更新手続きの実施
商標登録の更新の手続き方法については、特許庁のホームページ(以下の参考リンク②)にも掲載されております。
参照リンク①:特許庁|産業財産権関係料金一覧
参照リンク②:特許庁|権利維持のための特許(登録)料の納付の流れについて

① 特許印紙の金額を記載してください。特許印紙には割印をしないでください。
(注)「収入印紙」ではありませんのでご注意ください。
(注)追納期間の納付の場合は納付金額を倍額にしてください。追納期間の納付である旨の記載は不要です。
② 商標権者全員を記載してください。
③【識別番号】は特許庁から通知済みの9桁の申請人識別番号を記載してください。
識別番号を記載した場合は、【住所又は居所】の欄は不要です(【識別番号】と【住所又は居所】の両方を記載した場合は、識別番号に登録されている住所宛てに領収書が郵送されます)。識別番号がわからない場合は、項目ごと削除し、【住所又は居所】欄を記載してください。
(注)予納、電子現金納付、現金納付、指定立替納付を利用した納付の場合は、識別番号の記載が必須です。
④ 識別番号を記載しない場合は【住所又は居所】に書類が届く住所又は居所を記載してください。識別番号を記載する場合は、【住所又は居所】の欄は不要です。
⑤ 更新登録申請人が個人の場合は、【代表者】の欄は不要です。更新登録申請人が法人の場合は、【代表者】の記載が必要です。
⑥ 一出願多区分で登録されている商標権について、区分の数を減じて更新登録申請をするときは、【商標登録番号】の次に【商品及び役務の区分】の欄を設けて、更新登録を求める商品及び役務の区分を記載してください。変更がない場合は、【商品及び役務の区分】は設ける必要はありません。
(注)商標権存続期間更新登録申請書を書面で手続する場合は、更新登録料の他に、書面を電子化するための費用がかかります。
参照リンク③:特許庁|様式・記載方法(一部引用)
商標登録後に、権利者の社名の変更または改姓による氏名の変更、会社や個人の住所(居所)に変更が生じた場合には、特許庁に対して登録情報の変更申請手続きが必要となります。
特許庁のホームページに掲載されている「表示変更登録申請書」を作成し、特許庁へ提出します。なお、ここでいう商標登録の変更とは、単に権利者の氏名や住所(居所)に変更があった際の手続を指します。商標権を他の会社や個人に譲渡または移転することで、権利者の名義変更となる場合には、別途の手続き及び費用が発生しますのでご注意下さい。
変更の手続き費用として、修正箇所1カ所につき1枚1,000円の登録免許税(収入印紙を貼付:消印不要)が必要になります。例えば、氏名および住所の両方をまとめて変更する場合、印紙代は2,000円になります。加えて、紙文書で手続きを行う場合には、所定の電子化手数料(手続1件につき2,400円+書面1枚につき800円を加えた金額)がかかります。
変更手続きは、商標の登録要件や権利の有効性にも影響します。例えば、あなたの会社の住所が変更された後、住所の変更手続を実施せずに商標出願を行った場合には、特許庁における審査において商標出願が拒絶されてしまう可能性がありますので、変更があった際は速やかに手続きすることをおすすめします。
表示変更登録申請書については、特許庁のホームページにも掲載されております(参照リンク③)で、ご参照ください。
参照リンク④:特許庁|表示変更登録申請書について
商標登録の更新・変更手続きをご自身で行うことも可能ですが、書類不備や記載ミスを防ぐために、特許事務所や弁理士に手続きを依頼するケースも多くあります。
その場合、特許庁へ支払う手数料(印紙代)のほかに、以下に示す弁理士費用が発生します。
項目 | 弁理士費用(目安) |
更新手続き | 10,000円~30,000円 |
変更手続き | 5,000円~10,000円 |
※費用は案件の内容(区分の数、一括納付か分割納付か)や、特許事務所が設定している基本料金により変わりますので、事前に見積りを取得するのが良いでしょう。
更新手続きの猶予期間に入ると割増料金が発生してしまいますので、常に期限を意識し、早めに手続きを行うことで無駄な出費を防ぐことができます。特許庁は商標権の更新時期について、権利者に通知を行うことはありませんので、ご自身でGoogleカレンダー等のツールを用いて期限管理するか、又は特許事務所に期限管理を委託するのがよいでしょう。
権利者の住所変更など、比較的簡単な手続きであれば、ご自身で特許庁のホームページや手引きを参考に申請手続きを行うことも可能です。
更新のタイミングで、現在全く使用していない/今後使用予定のない指定商品・役務の区分がないか見直しましょう。区分を削除することで費用を抑えることができます。ただし、一度削除した区分は復活させることができないため注意が必要です。
また、指定商品・役務を「減らす」こと(補正や限定)は可能ですが、基本的に「増やす」ことはできませんので、新たに使用する商品・役務を追加したい場合には、別途新たに商標出願を行う必要があります。
商標の更新や変更が同時期に複数ある場合、それらをまとめて弁理士に依頼することで、ディスカウントを受けられる場合があります。
商標登録の手続きは一見して費用や手間がかかるように見えるかもしれませんが、会社の製品やサービスの名前・ロゴを法的に保護する重要な手続きです。第三者による無断使用や模倣を防ぐことで、ブランドの信頼性と競争力を確保することができます。
商標登録の更新・変更は、期限内に適切に手続きを行えば、手続き費用を抑えることができますが、期限を過ぎると費用が膨らむため、計画的かつ確実に手続きを行うことが重要です。
商標をしっかり守ることで、将来のトラブル回避にもつながります。必要に応じて、専門家のアドバイスも受けながら、着実な権利の維持を心がけましょう。

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