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#商標の区分・指定商品役務

商標登録の出願を検討しているジャンルでよく選択される指定商品・役務(サービス)を調べる方法 

公開日:

2025/05/28

更新日:

2026.06.30

新たなビジネスやブランドを立ち上げる際、商標の保護はとても重要です。商標登録出願を行う上で、事業者が頭を悩ませるポイントの一つが「指定商品・役務」の選択でしょう。

これは、あなたの商標をどの商品やサービスについて保護したいのかを具体的に特定するものであり、商標権が及ぼす効力の範囲そのものを決定づけます。しかし、自社のビジネスに最適な指定商品・役務を網羅的かつ的確に選び出すのは容易ではありません。

この記事では、特にあなたが商標登録出願を検討しているジャンルにおいて、他の事業者がどのような指定商品・役務を選択している傾向にあるのか、例題を元に具体的な指定商品・役務の調査方法をステップごとに分けて解説します。

なぜ指定商品・役務の選択が重要なのか?

商標権は、原則、出願時に指定した商品・役務の範囲内でのみ効力を持ちます。つまり、この指定商品・役務の選択が不適切であれば、期待する保護を受けられない、あるいはビジネスの成長を阻害する要因にすらなり得ます。指定商品・役務の選択が重要である理由は、主に以下の点にあります。

商標権が及ぼす効力の範囲が決定する

例えば仮に「カフェ・ドリーム」という商標を「飲食物の提供」について登録した場合、他人が「カフェ・ドリーム」の名称を「アパレル販売」に使用しても、原則として商標権侵害を主張することは難しくなります。自社が現在提供している商品・サービスだけでなく、将来的な展開も見据えて、適切に指定商品・役務を指定することが重要です。

誤った選択によるリスクを回避できる

商標登録の際に、指定商品・役務の選択を誤ると、次のようなリスクが生じます。

  • 保護の抜け漏れによるリスク

実際に事業を行っている、あるいは将来的に行う可能性が高い指定商品・役務を指定し忘れると、その範囲では第三者による同一または類似の商標の使用を排除できず、顧客の混乱やブランドイメージの低下を招く恐れがあります。カフェの場合、単に「飲食物の提供」だけでなく、コーヒー豆の販売や、マグカップやエコバッグなどのオリジナルグッズの販売も行うのであれば、それらに関連する指定商品・役務も忘れずに選択する必要があります。

  • 権利が不安定になるリスク

出願時に実際に使用しておらず、かつ近い将来に使用する具体的な予定もない指定商品・役務まで広範に選択すると、商標登録の取り消しや消滅につながる恐れがあります。たとえば、以下のようなケースが考えられます。

ex)他者から「実際に使っていない指定商品・役務については無効だ」として無効審判を請求される、

ex)登録後3年以上、日本国内で正当な理由なく使用していない指定商品・役務について不使用取消審判を請求される

  • 審査の長期化・拒絶のリスク

指定商品・役務の表現があいまいであったり、指定商品・役務の区分が不適切であったりすると、特許庁の審査官から補正(修正)の指示や拒絶理由通知を受ける可能性が高まります。その結果、審査に時間がかかり、出願から登録までの手続きが長引いてしまうことがあります。

指定商品・役務を適切に選択することのメリット

しかし、適切に指定商品・役務を選択することで、商標権による確実な保護が得られ、ブランドの価値を高めることにも繋がります。

・類似した商標を使った模倣品や便乗ビジネスの排除がしやすくなる

・顧客の信頼を得ることで、安心して事業を展開できる

・ライセンス契約やフランチャイズなど、ブランドを活用したビジネス戦略を進めやすくなる

~それでは具体的な例をもとに手順を追ってみてみましょう~

例:「飲食店(カフェ)」のジャンルおいて、どのように調査を進めるのか

STEP 1 現在提供している具体的な商品・サービスを洗い出す

まず現在提供している主力商品・サービスに加え、付随するサービスや関連商品もリストにします。

  • コーヒー、紅茶、ジュース等の飲料の提供

  • ケーキ、サンドイッチ、パスタ等の軽食・食事の提供

  • 店内での飲食サービスの提供

  • テイクアウト(持ち帰り)サービスの提供 

将来的に提供を計画している商品・サービスを整理する

今後、3年から5年程度のスパンで展開を予定しているものも商標登録出願の指定商品・役務に含めるか検討します。

  • 自家焙煎コーヒー豆の販売

  • オリジナルブレンドティーの販売

  • マグカップ、タンブラー、トートバッグ等のオリジナルグッズの企画・販売

  • オンラインでのコーヒー豆の通信販売

  • コーヒーの淹れ方教室、ワークショップの開催

  • ケータリングサービス

  • フランチャイズ展開

ビジネスモデルの全体像を把握する

商標の指定商品・役務の範囲を検討する上では、単体の商品・サービスだけでなく、ビジネス全体の構造を俯瞰することが重要です。ポイントとして、収益の柱となる商品・役務は何か?、実店舗での提供が中心か、オンライン販売も視野に入れているか、将来的にイベント出店やECサイトでの物販など、新たなチャネルの展開はあるか、これらを整理することで、現実的かつ将来的な展開も含めた適切な指定商品・役務の選定が可能になります。

STEP 2 J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)を活用する

自己のビジネス内容が明確になったら、次に特許庁が提供する無料のデータベース「J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)」(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)を利用して、関連する商品・役務の具体的な表現や商品・役務の区分を調べていきます。

  • キーワード検索の実施

J-PlatPatの商標検索画面にある「商品・役務名」の欄に、ステップ1でリストアップした商品やサービスに関連するキーワードを商標の検索窓に実際に入力して検索します。たとえば、以下のようなキーワードが該当します。

・「カフェ」・「コーヒー」・「飲食物の提供」・「喫茶店」・「レストラン」・「コーヒー豆」・「テイクアウト」

  • 類似群コードの理解と活用

検索結果に表示される各商品・役務には、「類似群コード」という英数字のコードが付与されています。これは、互いに類似すると判断される商品・役務をグループ化したコードで、商標審査の際に「類似」するかどうかを判定する基準の1つになります。

参照:特許庁|日本における「類似群コード」について | 経済産業省 特許庁

例えば、「飲食物の提供」は、多くの場合、第43類の「42B01」という類似群コードが付与されています。「コーヒー豆」は第30類の「32F06」などが該当します。この類似群コードを手がかりにして、同じ類似群コードを持つ他の商品・役務を確認することで、関連性の高い商品・役務を網羅的に見つける事ができます。


STEP 3 競合他社の商標調査

自社と同じジャンルで事業を展開している競合他社がどのような商標戦略をとっているかを調べることは、非常に有益な情報収集手段です。特に成功している企業や業界のリーダーが、どのような商品・役務を指定して商標登録を行っているかを把握することで、出願戦略の参考になります。たとえば、大手カフェチェーン店は、コアとなる「飲食物の提供」(第43類)だけでなく、周辺領域まで幅広く商品・役務を指定しているケースが一般的です。以下のような分類が含まれていることがよく見られます。

・第30類:「コーヒー豆」

・第21類:「コーヒーカップ、タンブラー」

・第25類:「エプロン」「Tシャツ」などユニフォームやグッズ販売用衣類

・第35類:「コーヒー豆の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」などの小売りサービス。

一方で、大手ではない個人経営のカフェでも、自家焙煎豆を販売していれば「コーヒー豆」(第30類)やその小売等役務(第35類)を、オリジナルグッズを販売していれば関連する商品分類(第21類、第25類など)を指定している場合があります。

ただし、注意すべき点として競合他社の指定内容をそのまま模倣するのは避けるべきです。あくまで参考情報として捉え、自社のビジネス実態や将来計画と照らし合わせて、本当に必要な指定商品・役務を選択することが重要です。

飲食店(カフェ)ジャンルの具体的調査例と考慮すべき指定商品・役務

先ほどの「飲食店(カフェ)」を例に、J-PlatPatでの調査や競合分析を通じて、一般的にどのような指定商品・役務が選択される傾向にあるか、より具体的にみてゆきましょう。

1. カフェのコアとなる役務

カフェの基本的な事業活動は、第43類の「飲食物の提供」等であり、このサービスが中心的な役務として扱われます。また、関連する商品についても併せて検討することで、より広範な保護が可能となります。

  • 第43類:飲食物の提供

    「飲食物の提供」

    「コーヒーを主とする飲食物の提供」

    「喫茶店における飲食物の提供」

    「カフェにおける飲食物の提供」

    「持ち帰り用飲食物の提供」(テイクアウトを明確に含める場合)

  • 第30類:コーヒー豆、茶葉、菓子など

    「コーヒー豆」「焙煎されたコーヒー豆」「インスタントコーヒー」

    「茶葉」「紅茶」

    「菓子」「パン」「ケーキ」

  • 第21類:マグカップ、キッチン用品など

    「コーヒーカップ」「マグカップ」「タンブラー」

    「コーヒードリッパー」「コーヒーポット(電気式のものを除く。)」「コーヒーミル(手動式のもの)」

  • 第25類:被服、履物、帽子などのアパレル関連

    「Tシャツ」「エプロン」「帽子」「トートバッグ」

    これらはスタッフユニフォームとしての使用だけでなく、顧客向けのオリジナルグッズとしても販売されることがあります。

  • 第16類:印刷物・包装資材など

    「印刷物」「メニューブック」「パンフレット」「包装用資材(紙製又はプラスチック製のもの)」ブランドイメージを統一するために、これらのアイテムに商標を使用する場合に考慮します。

2.  小売・販売サービスに関連する役務

上記のような商品を店頭やオンラインで販売する場合、その販売行為自体を役務として保護することも重要です。

  • 第35類:広告業、小売等役務など

    「コーヒー豆の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」

    「菓子の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」

    「飲食物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(包装済みの食品や飲料を販売する場合)

    「食器類(「家庭用帯電式歯ブラシ」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(マグカップなどを販売する場合)

3.  その他の関連サービス

近年、多くのカフェが飲食の提供にとどまらず、ブランド力を活かして様々な付加サービスを展開しています。こうしたビジネスの多角化に伴い、以下のような役務も検討対象となります。

  • 第41類:コーヒー教室、セミナーなど

    「技芸・スポーツ又は知識の教授」(例:コーヒーの淹れ方教室、ラテアートセミナー)

    「セミナーの企画・運営又は開催」

  • 第43類:ケータリングサービス

    「飲食物の提供」(*イベント会場などへの出張サービスを含む形での提供)

このように、「カフェ」といっても、その事業内容の広がりによって、選択すべき指定商品・役務は多岐にわたります。自社の現状と将来像を照らし合わせ、必要な範囲を過不足なく指定することが肝要です。

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