#商標出願の方法・費用
公開日:
2025/07/14
更新日:
2026.06.30

SMB事業者やスタートアップ、個人事業主やフリーランスの方とお話する中で「商標登録(取得)はしたいけれど、費用が…」「手続きが複雑そう」「自分で商標登録するイメージが湧かない」という声を耳にすることがあります。
たしかにそういった面はありますが、中には商標登録は専門家でなくても、そして法人でなくても出願できるということを知らなかったというケースもあります。本記事では、個人で商標登録を行うための具体的な方法と流れや費用を解説します。

まず前提として、商標を出願・登録し、権利者となることに法人格の有無は関係ありません。個人事業主・フリーランスの方や、これから事業を始めようとしている個人の方でもご自身の名前で商標を出願・登録することは可能です。
これは、事業の立ち上げ準備において柔軟な対応が可能になります。例えば、まだ会社は設立していないが、先にサービス名やロゴを決定し、ウェブサイトやSNSでの発信を始めたい、というケースがあるかもしれません。その際に、会社設立前に個人の名前で商標を出願しておけば、サービス開始と同時に権利の保護をスタートできます。
その後、事業が軌道に乗り、法人化(法人成り)するタイミングで、商標権を個人から設立した会社へ移転することも可能です。もちろん、会社を設立せずに個人のままで権利を保持することもできます。
「でも個人で出願する人なんて、ほとんどいないのでは?」と思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
特許庁が公表している「特許行政年次報告書2024年版」のデータによると、2023年に出願された商標のうち、出願人が「個人」である割合は全体の18%程度です。これは、5件に1件近くが個人による出願であることを示しており、法人による出願が大多数ではあるものの、個人による出願も一般的であることが分かります。
フリーランスや小規模事業者、クリエイターなど、多様な立場の方がご自身のブランドを守るために商標制度を活用しているといえるでしょう。
出典:特許庁|出願人別(個人・法人・官庁別)出願件数表(特許行政年次報告書2024年版)
とはいえ、従来、商標登録は弁理士が所属する特許事務所へ依頼することが一般的でした。その理由は、商標登録には以下のような専門的な知識やノウハウが求められることがあるからです。
似たような名前やロゴが、同じような商品・サービスで既に登録されていないかを調査する作業は、権利化の可否を左右する上で重要です。
願書には、商標名はもちろん、その商標の権利対象となる商品・サービスを「区分」という分類に当てはめて指定する必要があります。慣れていない方にとってはどの区分に分類されるのか判断できない可能性もあります。
出願後、特許庁の審査官から「拒絶理由通知」が届くことがあります。これに対し、専門的な観点から意見を述べたり、手続きを修正したりする対応は専門知識を要します。
これらの手続き(中間処理ともいいます)を正確かつスムーズに進めるためには、専門家である弁理士に依頼するのが確実であることは間違いありません。自分で中間処理の対応をすることも可能ですが、予算が許すのであれば、専門家に任せるのが最も手間がなく安心な方法です。
出願後、無事に登録査定が届いてからの登録料納付などの手続き、登録後5年または10年経過後には更新などの手続きが必要です。これら手続きを専門家に依頼することで、期間が長いことで忘れてしまうなどのリスクを防げます。
しかし、事業の立ち上げ期や中小企業・個人事業のビジネスにおいては、専門家への依頼費用が大きな負担になることも事実です。特許事務所に依頼した場合、出願から登録までに10万円以上の費用(特許印紙などの実費は除いて)がかかることも少なくありません。
そこで選択肢となるのが、自分で出願・登録の手続きを行う方法です。確かに、調査や書類作成の手間はかかりますが、特許庁に支払う特許印紙などの実費だけで済むため、費用を大幅に抑えることができます。(個人で出願する費用メリットについては後述します)
ここでは、個人の方がご自身で、紙の書類を郵送して出願する基本的な流れを解説します。
特許庁が無料で提供するデータベース「J-PlatPat」を使い、登録したい商標とよく似た商標が、同じような商品・サービス分野で既に出願・登録されていないかを調査します。ここで類似の商標が見つかった場合、登録は極めて困難になります。自分でやる場合も、専門家に依頼する場合でも、先行商標の調査は同様に重要になります。
先行商標調査の次に、出願する商標(文字、ロゴなど)と、その商標を使用する商品・サービスを定めます。これを指定商品・指定役務といいます。指定商品・指定役務は45種類の区分に分類されます。例えば、広告業なら「第35類」、システム開発なら「第42類」となります。
特許庁のウェブサイトから商標登録願(願書)の様式をダウンロードし、必要事項を記入します。記入する内容は、出願人の氏名・住所、商標、指定商品・指定役務(区分とともに記載)などです。
作成した願書に、出願手数料分の「特許印紙」を貼り付け、特許庁へ郵送します。特許印紙は、大きな郵便局で購入できます。
出願手数料は、3,400円 +(8,600円 × 区分の数)です。
紙で出願した場合、特許庁が書類を電子データ化するための手数料の納付書が後日郵送されてきます。この「電子化手数料」を金融機関で納付します。
電子化手数料は、2,400円 +(800円 × 書類の枚数)です。
出願から半年~1年程度の審査期間を経て「登録査定」の通知が届きます。これを受け取ったら、30日以内に登録料を納付します。この納付をもって、正式に商標権が発生します。 登録料(10年分)は、32,900円 × 区分の数 です。
自分で出願した場合と、特許事務所に依頼した場合の費用を比較してみましょう。
(※1区分の商標を10年登録する場合の目安)
自分で出願 | 弁理士(特許事務所) | |
出願費用(手数料) | 0円 | 132,592円 |
出願印紙代 | 12,000円 | 12,000円 |
電子化手数料(1枚) | 3,200円 | 0円 |
登録費用(手数料) | 0円 | 104,475円 |
登録印紙代 | 32,900円 | 32,900円 |
合計金額 | 48,100円 | 281,967円 |
※特許事務所の費用は日本弁理士会 弁理士の費用(報酬)アンケート平成18年度より引用
もちろん、複雑なロゴや、複数の事業分野にまたがる商標、海外への出願も検討する場合など、専門家の知見を借りるメリットは大きいでしょう。しかし、シンプルな名称で、事業内容(区分)も明確であれば、ご自身で出願・登録することは決して難しくありません。
もし手続きの途中で分からないことがあれば、特許庁の窓口(INPIT知財総合窓口)に電話で問い合わせることも可能です。非常に丁寧に教えてくれます。コストを抑えたい起業準備期において、自分で出願することは有効な選択肢です。
WebマーケティングやDX支援、昆虫の通信販売などを展開されている株式会社Mar-KPT(マーケプト)様は、GVA 商標登録を利用して、自分で書類を作成して出願をされています。詳しくは以下からご覧ください。
事業の立ち上げ段階で区分を広げるのはハードルが高いので、最低限の区分に絞って安価に出願できる方法を探していました(株式会社Mar-KPT)

鈴田好美様は、GVA 商標登録を利用して、自分で書類を作成して出願をされています。詳しくは以下からご覧ください。
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