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二段併記(二段書き) 商標とは?...

#商標の種類・具体例

二段併記(二段書き) 商標とは?ロゴ商標・文字商標との違いを解説

公開日:

2026/04/07

更新日:

2026.06.30

新しいサービス・製品のPMF(プロダクトマーケットフィット)の兆しが見えてくると、次の打ち手の候補の一つとなるのが商標登録です。

文字商標やロゴ商標など、どんな商標があるのかをネットで調べながら、J-PlatPatで様々な商標を眺めていると、上段に「アルファベット」、下段に「カタカナ」が配置されたような、いわゆる「二段併記(二段書き)」の商標を目にすることがあります。「これは文字商標の一種なのか? それともロゴ商標として扱うべきなのか?」と疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、この「二段併記商標」の正体や、ロゴ商標・文字商標との違い、そして初めての出願において優先すべきはどの形式なのかについて解説します。

二段併記(二段書き) 商標とは?

二段併記(二段書き)商標とは「2つの異なる文字列を上下(または左右)に並べて、1つの商標として出願・登録されたもの」です。なお「二段併記」というのは特許庁の正式な用語ではなく、商標実務で便宜上使われている名称になります。

最もオーソドックスなパターンは、上段に「アルファベット(欧文字)」、下段にその読み方を表す「カタカナ」を配置したものです。他にも、「漢字」とその「ふりがな(ひらがな)」の組み合わせや、日本語のブランド名とそれに対応する英訳の組み合わせなど、様々なバリエーションが存在します。

二段併記の例:salesforce.com


特許庁のデータベース(J-PlatPat)上では、この二段併記商標は原則として「結合商標(複数の要素が組み合わさってできた商標)」として扱われます。標準的なテキスト文字だけで構成する文字商標では、文字を改行して二段にレイアウトして出願することはできません。そのため、二段併記の商標を出願する場合は、二段に配置した文字列の画像データを作成し、それを出願書類に添付することになります。

二段併記(二段書き) 商標のメリット

形式上は画像データとして出願されるため、分類としては「文字を含んだ図形(ロゴ)商標の一種」となります。ただし、複雑なデザインが施されていなければ、実質的には文字が持つ「称呼(読み方)」や「観念(意味)」を保護するための、文字商標に近い役割を果たします。

なぜこのような出し方をするかというと、最大の目的は、特定の読み方(称呼)を、特許庁の審査官や第三者に明確に伝えるためです。造語のアルファベットブランドなどは、人によって読み方がバラバラになる可能性があります。そこにカタカナを併記することで、「このアルファベットはこのように読むブランドである」ということを強固に定義づけることができるのです。また、アルファベットとカタカナで別々に商標登録する場合に比べ、特許印紙代や手数料が約半分とコスト面のメリットもあります。

ロゴ商標・文字商標との違い

二段併記商標の意味合いを深く理解するために、基本となる「文字商標」と「ロゴ(図形)商標」の特徴を二段併記商標と比較します。

文字商標(標準文字商標)

標準的なフォント(文字の書体)のみで構成される商標です。デザイン性(外観)ではなく、文字そのものが持つ「言葉の響き(称呼)」や「意味(観念)」を保護します。文字として同一または類似していれば、相手がどんなフォントや色を使っていようと権利を主張しやすいのが特徴です。

ロゴ商標(図形商標)

文字を独自のデザインで装飾したもの(ロゴタイプ)や、マーク(シンボルマーク)、あるいはその組み合わせで構成される商標です。言葉の響きだけでなく、「視覚的なデザイン(外観)」自体を保護します。デザイン性が高ければ、文字部分が一般的な言葉(識別力が低い言葉)であっても登録が認められるケースがあります。

二段併記商標とその他の違い・用途

二段併記商標は、これらの中間的な性質を持つといえます。デザイン性は高くないものの「二段のレイアウト」という外観を持ち、同時に「2つの文字列の読み方」を持つ特殊な商標です。二段併記商標を登録したほうがいい(あるいは検討の余地がある)のは、以下のようなケースです。

①ビジネスにおいて、常に「二段併記」のレイアウトで使用する場合
商品のパッケージやWebサイトのヘッダーなどで、デザインのルールとして「常に英語とカタカナを上下セットで表示する」と決まっている場合は、その使用実態に合わせて二段併記で登録するのが有効です。

②アルファベットの読み方が特殊で、誤読を防ぎたい場合
当て字や独自の造語などで独特の読み方をさせたい場合、カタカナを二段併記にすることで、審査において意図しない読み方で類似判断されるリスクを減らすことができます。

③出願コストを抑えたい場合(注意点あり)
「アルファベット単体」と「カタカナ単体」を別々に出願すると2件分の特許庁費用がかかります。しかし、これらを二段併記にして1件の「結合商標」として出願すれば、費用を半分に抑えることができます。ただし、この手法には注意点(後述)もあります。

二段併記(二段書き) 商標の登録例

実際にどのようなものが二段併記商標として登録されているのか、いくつかイメージしやすい事例の傾向をご紹介します。

認知度の高いブランド(例:SONY 登録0512083号他、やTOYOTA 登録0678494号他など)は、「アルファベット単体」で誰もが正しく読める圧倒的な識別力を持っているため、あえて二段併記で登録しているケースは現在では少数派です。しかし、特定の目的のため二段併記を活用している企業も多くみられます。

外資系ブランドの日本市場参入時:海外のブランドが日本に進出する際、日本の消費者に正しい読み方を定着させるために「上段:欧文字、下段:カタカナ」で出願されることが頻繁にあります。アルファベットだけでは日本人にとって馴染みが薄く、読み間違えられるリスクを避けるためです。

独特な読み方をする漢字ブランド: 「上段:漢字、下段:ひらがな(ふりがな)」のパターンです。例えば、日本酒の銘柄、伝統工芸品、和菓子屋の屋号などで、通常では読めないような当て字の漢字の読みを消費者に伝えるため、二段併記で出願・登録されている事例があります。

その他にも海外のファッションブランドなどでも二段併記商標を登録しているケースが見られます。(例:RADA\DOUBLE BAG)国際登録1215250号

二段併記(二段書き) 商標の優先度

では、「1件の出願費用で英語とカタカナの両方をカバーできるかもしれないなら、初めての出願は二段併記商標にするのがいいのでは?」と考えるかもしれません。

結論からいうと、必ずしも二段併記にすればいいわけでなく「実際のビジネスで使用する形(使用態様)」を最優先にして出願するべきです。単なるコスト削減(1件で2つ分の権利を狙うこと)を目的とした二段併記出願は避けましょう。

商標法には「不使用取消審判」という制度があります。これは、商標登録から3年以上、日本国内でその商標を「登録した形」で使用していない場合、第三者からの請求によって権利が取り消されてしまうというルールです。

もし「費用を浮かせるために二段併記で登録した」ものの、実際のWebサイトや商品パッケージ、名刺などでは「上段のアルファベットだけ」を単独で使っていたとします。この場合、法律上は「登録した商標(二段併記のセット)を使用していない」とみなされる危険性があります。二段併記で登録したものを、一段単体で使うという行為は、商標の同一性を損なうと判断され、最悪のケースでは権利を取り消されてしまう可能性があります。

ちなみに、日本の商標登録全体における割合を推定すると、概ね以下のようになります。

文字商標(標準文字含む): 全体の約50〜60%
ロゴ(図形・記号)商標: 全体の約30〜40%
二段併記を含む特殊な結合商標: 全体の10%未満
※これら3つ以外にも商標種類はあります

このデータからもわかるように、商標登録の王道はやはりシンプルな「文字」または「ロゴ」です。 初めての商標登録における優先度は、以下のような思考プロセスで決定するのが鉄則といえます。

商標登録は「取得すること」ではなく、「事業を守るために正しく使い続けること」ために行います。自社のサービスで「最も高い頻度で使用するブランドの表記は何か?」を考え、その目的を果たせる商標登録を検討しましょう。

文字やロゴに関しては、こちらの記事もご参照ください。

文字商標とロゴ商標の違いを解説


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