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個人で商標登録するメリット・注意...

#商標の基礎知識

個人で商標登録するメリット・注意点を解説

公開日:

2025/12/05

更新日:

2026.07.01

ビジネスをされている方は、自分の大切な屋号やサービス名をしっかり守りたいと誰しもが思うと考えます。

しかし、いざ屋号やサービス名を守るために商標の手続きを考えたとき、こんな疑問が浮かんでくることはありませんか。

「個人事業主でも、法人と同じように登録できるのだろうか?」

「個人名義だと、審査で不利になったりしないのだろうか?」

こうした疑問を持つ個人事業主・フリーランスの方に向けて、個人で商標登録を行うメリットや、申請にあたっての重要な注意点を解説します 。

個人でも商標登録は可能?

個人や個人事業主(フリーランス)の方でも商標登録は全く問題なく可能です 。

商標を出願して権利者となることに、法人格の有無は関係ありません。特許庁のデータによれば、2024年に出願された商標142,540件のうち、出願人が「個人」である件数は21,781件であり、全体の約15%に達しています。つまり、7件に1件近くは個人による出願であり、商標出願は法人だけでなく、個人にとっても一般的な取り組みであることがわかります。

参照:特許庁|特許行政年次報告書2025年版より抜粋

個人で商標登録するメリット

商標登録を行うことは個人や法人問わず、主なメリットが3つあります。

メリット1:屋号やサービス名の「独占的な使用権」を確保できる

商標権の最も強力な効力は、日本全国における独占排他権です 。商標登録をすることで、指定した商品・サービスの範囲内で、その名称(屋号やサービス名)を独占的に使用する権利が得られます 。

商標登録さえしておけば、他者が無断で類似の屋号やサービス名を使用した際に、商標権侵害として使用の差し止めや損害賠償を請求することが可能になり、自身のブランドを法的に守ることができます 。

メリット2:他者からの「警告リスク」を回避できる

日本の商標制度は、原則として「早い者勝ち(先願主義)」を採用しています 。つまり、その名称を先に使っていたかどうかに関わらず、特許庁に「先に出願」した者に、原則として権利が与えられます 。

もし他社が先にあなたの屋号と同じ商標を登録している場合、商標権を侵害しているので屋号を変更してくださいという警告を受けるリスクがあります 。

そうなれば、自身の屋号を手放さざるを得ません。商標登録は、こうした将来的なリスクから自身を守る役割も果たします 。

メリット3:社会的信用とブランド価値が向上する

商標登録が完了すると、その名称に「®マーク」をつけることができます 。

これは「Registered Trademark(登録商標)」を意味し、この名称は法的に守られた正式なブランドであることを対外的にアピールできます 。

取引先や顧客に対して、知的財産に対する意識が高い、しっかりした事業者であるという印象を与え、社会的信用の向上につながります 。特に個人で活動している場合、こうした法的な裏付けが信用の補完として機能する側面もあります 。

個人が商標登録する際の注意点

メリットが大きい一方、個人の方が商標登録を行う際には、法人とは異なる個人での出願特有の注意点が存在します。

注意点1:出願人の情報(氏名・住所)が公開される

商標出願を行うと、その内容は特許庁のデータベース「J-PlatPat」上で一般公開されます 。このデータベースには、商標の内容だけでなく、「出願人の氏名(または名称)」と「住所」が掲載されます 。

法人の場合は会社の登記住所が公開されるだけですが、個人の場合、自宅を事務所として活動している方は、ご自身の本名と自宅の住所がインターネット上で誰でも検索できる状態になるという点を、あらかじめ認識しておく必要があります 。

注意点2:「指定商品・指定役務」を的確に特定する

商標登録は、「名前」を「どの商品・サービスにその名前を使うか」セットで指定する必要があります 。この商品・サービスのカテゴリを「指定商品・指定役務」と呼びます 。

この「区分」の選択は非常に重要です。

  • 範囲が狭すぎると、本来守りたかった事業範囲がカバーできておらず、他者に別の区分で登録されてしまうリスクが残ります 。

  • 範囲が広すぎる(区分の数が多すぎる)と、特許庁に支払う費用(印紙代)が区分の数に応じて高額になります 。

現在のビジネスだけでなく、将来の事業展開も見据えて、適切な区分と商品・サービス名を指定することが重要です 。

注意点3:どのような名称でも登録できるわけではない

商標には「識別力」つまり他社のものと区別できる独自性が求められます 。

以下のような商標は、原則として登録が認められません。

  • 商品の内容や品質をそのまま表す名称
    例:八百屋が「新鮮野菜」、飲料メーカーが「天然水」

  • ありふれた名称や、単なる地名
    例:「田中屋」「○○銀座」

  • 他人が先に出願・登録した商標と同一または類似のもの

独自性のあるネーミングにするか、ロゴマークと組み合わせることで識別力を持たせるなどの工夫が必要になる場合があります 。

注意点4:法人化する際の手続き

「個人」と「法人」は法律上は別人格のため、法人設立後も商標権は自動で移行しません。後から会社へ名義を移すには「商標権の移転登録申請」をする必要があり、1件3万円の登録免許税がかかる上、無償で譲渡すると「贈与」とみなされ法人税が発生する可能性もあります。法人化をして商標の名義を移す際には税理士等にも相談しましょう。

商標登録の費用はどれくらい?

商標登録にかかる費用は、法人や個人で変わりはなく、同じ金額となります。
ただし、自分で出願するか、弁理士(特許事務所)に依頼をするかで大きく異なります 。

1. 自分で出願する場合

専門家への報酬がかからず、費用を大幅に抑えられます 。特許庁に支払う実費(特許印紙代)だけで済みます 。

▼ 実費(費用)の目安(1区分・10年登録・紙で出願する場合)

  1. 出願時:出願料12,000円 = 3,400円 + (8,600円 × 1区分)

  2. 出願時:電子化手数料(紙出願の場合のみ)

    約 3,200円 = 2,400円 + (800円 × 書類1枚)

  3. 登録時:登録料(10年分)32,900円 × 1区分

 合計 約 48,100円

参照:特許庁|産業財産権関係料金一覧

手間や時間はかかりますが、調査や書類作成を自分で行うことで、この金額で10年間の権利が確保できます 。

2. 弁理士(特許事務所)に依頼する場合

上記の実費に加え、弁理士への報酬(出願手数料、成功報酬、中間対応費用など)が発生します 。事務所にもよりますが、この報酬が総額で10万円以上かかることもあります 。

出願手数料(1区分)66,989円
成功報酬(1区分) 45,409円
合計(平均)約112,398円

※弁理士に依頼する場合の費用(報酬)は、日本弁理士会が実施したアンケート調査(平成18年度)によると、上記のような平均額が示されています 。

参照:日本弁理士会 弁理士の費用(報酬)アンケート平成18年度

費用はかかりますが、先行商標の調査、適切な区分の選定、複雑な出願書類の作成、そして特許庁からの「拒絶理由通知」への専門的な対応など、一切の手続きを専門家に任せられるのが最大のメリットです 。

3. オンライン出願サービスを利用する場合

近年増えているのが、オンライン上で出願手続きをサポートするサービスです 。

弁理士に直接依頼するよりも安価で、自分でゼロから調べるよりも手間を省ける、両者の中間的な選択肢と言えます 。

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個人事業主こそ、商標登録で未来のビジネスを守りましょう

個人の方や、個人事業主、フリーランスにとって、屋号やサービス名は守るべきブランドです。

法人化していないからといって、その価値が低いわけでは決してありません 。まだ規模が小さいから、費用がもったいないから、と後回しにしてしまうと、事業が軌道に乗った時に、他者との思わぬトラブルに巻き込まれ、すべてを失うリスクがあります 。

個人で活動するからこそ、商標登録で屋号やサービス名をしっかりと守る意義は非常に大きいと言えます 。

この記事で解説したメリットと注意点をふまえ、ご自身の未来のビジネスを守るために、早期の商標登録をぜひご検討ください。

下記の記事においても、個人事業主に関する記載がございますので、併せてご参考下さい。

「個人事業主・フリーランスの商標登録の必要性」

https://tmlp.ai-con.lawyer/articles/5OEC_1wq

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