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出願しても登録できない商標とは?

#商標出願の方法・費用

出願しても登録できない商標とは?

公開日:

2025/08/20

更新日:

2026.08.04

商標とは、自己が取り扱う商品・サービスを他人のものと区別するために使用されるネーミングやマーク(識別標識)のことです。商標が広く世の中に認知されることはブランドの信頼を築く重要な役割を果たします。特許庁に商標を登録し「商標権」を得ると、指定した商品・サービス(役務)についてその商標を独占的に使用できるようになり、第三者の商標権侵害などから自社を守ることが可能になります。

しかし、出願しても全ての商標が登録できるわけではありません。商標法では、公正な競争環境の維持、消費者の混乱防止、公共の利益保護を目的として、「商標登録の要件」および「登録を受けることができない商標」を明確に定めています。そこで、本記事では商標出願を検討している方のために出願しても登録できない商標の類型について分かりやすく解説します。

1. 出願しても登録できない商標の類型

特許庁では、出願された商標が登録できるものか否かを、商標法に従って審査していますが、以下の3つの類型に該当する商標は登録を受けることができません。

類型1:自己と他人の商品・サービスとを区別することができない商標

類型2:公共の機関の標章と紛らわしい等公益性に反する商標

類型3:他人の登録商標や周知・著名商標等と紛らわしい商標

類型1,識別力がない商標(商標法第3条)

商標は、自己が取り扱う商品・サービスを他人のものと区別するために使用されるものであるため、「識別力」を持つことが登録の要件になります。そのため以下の商標は「識別力」を持たないと判断されるため登録はできません。

1-① 商品・サービスの普通名称(商標法第3条第1項第1号)

「普通名称」とは、商品・サービスの一般名称や、その略称・俗称をいい、これを普通に用いられる方法で表示する標章(文字や図形など)のみからなる商標が該当します。

<一般名称の該当事例>

・商品「電子計算機」⇨ 商標「コンピュータ」

・サービス「美容」⇨ 商標「美容」

<略称の該当事例>

・商品「スマートフォン」⇨ 商標「スマホ」

・サービス「損害保険の引受け」⇨ 商標「損保」

1-② 商品・サービスについての慣用商標(商標法第3条第1項第2号)

「慣用商標」とは、もともと他人の商標だったものが、同業者間で広く一般的に使われるようになったため識別力を失った商標のことです。

<慣用商標の該当事例>

・商品「自動車の部品、付属品」⇨ 商標「純正部品」

・商品「清酒」⇨ 商標「正宗」

・サービス「宿泊施設の提供」⇨ 商標「観光ホテル」

1-③ 産地や品質表示等のみからなる商標(商標法第3条第1項第3号)

商品の産地・販売地・品質、サービスの提供場所・質などを普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標も識別力がないと判断されます。

<商品の産地、販売地、品質の該当事例>

・産地、販売地:指定商品「菓子」⇨ 商標「東京」

・品質:指定商品「シャツ」⇨ 商標「特別仕立」

<サービスの提供場所、質の該当事例>

・提供場所:指定サービス「飲食物の提供」⇨ 商標「東京銀座」

・質:指定サービス「医業」⇨ 商標「外科」

1-④ ありふれた氏又は名称のみをからなる商標(商標法第3条第1項第4号)

「ありふれた氏又は名称」とは、原則として同種の氏または名称が多数存在するものをいい、商号・屋号・会社等の種類名を表す文字等を結合したものも、原則として「ありふれた名称」に該当すると判断されます。

<ありふれた氏又は名称の該当事例>

・氏/名称:「山田」「スズキ」「佐藤商店」「田中株式会社」

・地理的名称:「日本」「東京」「フランス」

・業種名:「工業」「製薬」「運輸」

1-⑤ 極めて簡単で、かつ、ありふれた標章(商標法第3条第1項第5号)

誰でも思いつくような、極めて単純でありふれた標章(記号、文字、図形など)は登録できません。

<主な該当事例>

・ローマ字1字または2字のなど(例:A、AB、A-B)

・仮名文字1字やローマ字1字または2字の読みを表示したものなど(例:ア、エイ、エイビー)

・極めて簡単な図形(例:〇、△、□、♡、◇)

1-⑥ 識別力がない商標(商標法第3条第1項第6号)

上記に当てはまらなくても、客観的にみて識別力がないと判断される商標は登録できません。

【例外:使用による識別力の獲得(商標法第3条第2項)】

上記③~⑤に該当する商標でも、長期間の継続使用により、その商標が特定の事業者の商品・サービスとして需要者(消費者や取引先など)に広く認識されるに至った場合は、例外的に登録が認められることがあります。この場合は、使用状況を証明する詳細な証拠書類の提出が必要です。

<登録された事例>

・指定商品「メロン」⇨ 商標「夕張メロン」

類型2,公共の機関の標章と紛らわしい等公益性に反する商標(商標法第4条第1項の一部)

公共機関の標章と紛らわしい商標や需要者の利益を害する恐れのある以下の商標は登録できません。

2-① 国旗、菊花紋章、勲章又は外国の国旗と同一・類似の商標(商標法第4条第1項第1号)

<主な該当事例>

菊花紋章、国旗、勲章、褒賞、外国の国旗と同一・類似の商標

2-② 外国、国際機関の紋章、標章等であって経済産業大臣が指定するもの、白地赤十字の標章又は赤十字の名称と同一・類似の商標等(商標法第4条第1項第2号、第3号、第4号及び第5号)

<主な該当事例>

・経済産業大臣が指定するもの:アメリカ合衆国の記章、国際連合の標章等と同一・類似の商標

・赤十字の標章:赤十字、ジュネーブ十字、赤新月、赤のライオン及び太陽等と同一・類似の商標

2-③ 国、地方公共団体等の著名な標章と同一・類似の商標(商標法第4条第1項第6号)

国や地方公共団体などの著名な標章と同一・類似の商標は登録できません。ただし、当該国や団体等が自ら出願する場合は本規定で拒絶されることはありません。

<主な該当事例>

都道府県、市町村、国際オリンピック委員会、学校法人等の標章と同一・類似の商標

2-④ 公の秩序、善良な風俗を害するおそれがある商標(商標法第4条第1項第7号)

差別的、卑猥、犯罪助長、詐欺的など、度を越した表現や他人に不快な印象を与える商標のほか、使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する商標は登録できません。

<主な該当事例>

・「大学」等の文字を含み大学等の名称と誤認を生ずるおそれがある商標

・「○○士」などの文字を含み国家資格と誤認を生ずるおそれがある商標

・国旗の尊厳を害するような方法で表示した図形を有する商標

2-⑤ 商品の品質・サービスの質を誤認させるおそれのある商標(商標法第4条第1項第16号)

需要者が商品の品質等を誤認するおそれのある商標は登録できません。「誤認するおそれ」の有無は、商標が表す商品の品質等と(1)指定した商品・サービスが関連しているか否か、及び(2)実際の品質等と異なるか否かにより判断されます。

<主な該当事例>

・指定商品「ビール」⇨ 商標「○○ウイスキー」

理由:商品の関連性はあるが、「ビール」と「ウイスキー」では商品区分が異なり、品質等も異なるため登録できません。(※指定商品を「ウイスキー」に変更すれば登録可能)

・指定商品「菓子」⇨ 商標「〇〇アーモンドチョコ」

理由:商品の関連性はあるが、「菓子」には「アーモンド入りチョコレート」とは品質の異なる商品も含まれるため登録できません。(※指定商品を「アーモンド入りチョコレート」に変更すれば登録可能)

2-⑥ その他: 博覧会の賞(商標法第4条第1項第9号)と同一・類似の商標、商品または商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標

類型3,他人の登録商標又は周知・著名商標等と紛らわしい商標(商標法第4条第1項の一部)

他人が使用する商標や他人の氏名・名称等と誤認するような紛らわしい商標は登録できません。

3-① 他人の氏名、名称、著名な芸名等を含む商標(承諾がない場合)(商標法第4条第1項の一部)

「他人」とは、現存する国内外の自然人だけでなく法人なども含まれます。「他人の氏名」については、同姓同名の他人が複数存在する場合には原則として全員の承諾が必要ですが、一定の知名度を有する他人が存在しないなどの場合には承諾は不要となります。

3-② 他人の周知商標と同一・類似の商標で、同一・類似の商品・サービスに使用するもの(商標法第4条第1項第10号

他人の業務に係る商品・サービスを表示するものとして、広く需要者に知られている商標(周知商標)は、同一・類似の商品・サービスに使用する場合には登録できません。

3-③ 他人の登録商標と同一・類似の商標で、指定商品・サービスと同一・類似のもの(商標法第4条第1項第11号)

既に登録されている他人の商標と同一・類似の商標は、当該他人の商標と同一・類似の指定商品・サービスにおいては登録できません。

3-④ 他人の業務に係る商品・役務と混同を生ずるおそれのある商標(商標法第4条第1項第15号)

他人の著名な商標と同一・類似の商標を、当該他人が扱う商品・サービスと非類似の商品・サービスに使用したとしても、その著名な商標の所有者と関連があるかのような印象を与える場合には登録できません。

3-⑤ 他人の周知商標と同一・類似で不正の目的をもって使用する商標(商標法第4条第1項第19号)

未登録の外国の著名な商標を登録した後買い取らせる、外国の権利者の商標を先に登録し国内参入を阻止する、あるいは、著名な商標の出所機能の希釈化や信用・名声を毀損するなどの、不正な目的を持った出願は登録できません。

3-⑥ その他: 他人の登録防護標章と同一の商標、種苗法で品種登録を受けた名称と同一・類似の商標、使用が認められていない産地表示を含むぶどう酒・蒸留酒の商標など。

「防護標章登録」(商標法第4条第1項第12号)とは、極めて著名な商標が、実際に使われていない非類似の商品・サービスにまで保護を広げる特別な制度です。防護標章登録されている商標と「同一」の商標は不正目的がなくても登録できません。

種苗法による品種登録を受けた品種と同一・類似の商標は、その品種の種苗またはこれに類似する商品・サービスについて使用をする場合には登録できません。ぶどう酒や蒸留酒の産地について、各国・各機関が指定していない産地を含む商標をぶどう酒や蒸留酒に使用する場合には登録できません。

2. 出願後の審査プロセスと対応

商標出願後、特許庁の審査官は出願書類が法令の定めに適合しているか、出願手続が完備しているかなどの方式審査を行い、不備が有れば出願人に「手続補正指令書」を送り補正出願を行うよう指示します。次に、特許法に定める拒絶理由に該当するかどうかを審査し、拒絶理由に該当する場合には出願人に「拒絶理由通知」を送付。拒絶理由に該当しない場合には登録査定を行います。出願人は拒絶理由通知に対し、「意見書」を提出したり、商標や指定商品・役務を変更する「補正書」を提出したりすることで、拒絶理由の解消を目指すことができます。これらの対応で拒絶理由が解消されれば登録査定となります。

3.出願前の商標調査は非常に重要

出願前の商標調査で特に重要なのは、使用を予定している指定商品・サービス分野における先行商標調査です。既に他人が同一・類似の商標を登録していれば出願予定の商標が登録できないだけでなく、無断で使用すると特許権の侵害になる可能性があります。自分で商標調査する場合は、無料の特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」などを利用するとよいでしょう。

先行商標調査を行う場合のポイントは、「商標」「指定商品・サービス」「称呼(読み方)」の3点を中心に調査することです

参照:特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」 https://www.j-platpat.inpit.go.jp

4. まとめ

商標登録は、ブランド戦略において非常に重要なプロセスですが、商標を検討する際には商標法に定められた登録できない商標の3つの類型をしっかり理解する必要があります。

自社のブランドを確立し長期的なビジネスの成功を目指すためにも、商標法の正しい理解、出願前の綿密な事前調査、商標戦略の立案などが必要です。独自に行う自信がない場合には、専門知識や経験が豊富な弁理士などの専門家に相談することをおすすめします。

GVA 商標登録で出願された事例

ITインフラ設計・運用支援など、現場の実務に根ざした情報処理サービスを展開する株式会社プルーブマインド様は、過去に別のサービス名で商標を他社に取得されていた経験から、事前に商標確保の重要性を認識され、GVA 商標登録で出願されています。

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