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ロゴ商標と文字商標どちらを登録す...

#商標の種類・具体例

ロゴ商標と文字商標どちらを登録すべき?一つしか登録できない場合の選び方

公開日:

2026/03/23

更新日:

2026.08.04

中小企業・スタートアップにとって、事業投資に回すべき資金はシビアに管理しなければなりません。これは商標や特許などの知財領域においても同じです。サービスがどこまで急成長するか不確実な中で、費用はできるだけギリギリのタイミングまで抑えたいという方は多いでしょう。

商標登録にかかる費用(特許庁への印紙代等)は、指定する「区分(商品・サービスのカテゴリ)」の数によって掛け算式に増えていくため、まずは区分数を限定することが節約の基本です。くわえて、そもそも文字とロゴ、どちらか一つしか登録できない場合の優先度の決め方を知っておけば将来の選択に役立つかもしれません。

本記事では、基本となる文字商標の優位性を確認しつつ、あえてロゴ商標を優先すべき例外的なケースや、事業フェーズに合わせた商標活用について解説します。

商標の中でも重要度が高い「文字商標」と「ロゴ商標(図形商標)」

商標とは、自社の商品やサービスを他社のものと区別するための目印です。中でもまず押さえておきたいのが「文字商標」と「図形商標(ロゴ商標)」です。まずはこの2つの違いを正しく理解しましょう。

1. 文字商標

文字商標とは、会社名やサービス名、ブランド名など、「文字そのもの」を保護する商標です。特に、特許庁が定めた共通の標準的な書体(フォント)で登録するものを文字商標と呼びます。

標準文字商標は、特定のデザインや色合いに左右されず、その言葉が持つ「響き(称呼)」と「意味合い(観念)」そのものを独占できます。

何を意味するかというと、最も保護範囲が広く、汎用性が高いということです。将来、ウェブサイトのリニューアル等でサービスロゴのフォントを変えたり、文字の色を赤から青に変更したりしても、文字そのものの権利は揺るがないため、長期間にわたって強力な効力を発揮します。

2. 図形商標(ロゴ商標)

図形商標とは、文字を一切含まず、シンボルマークやキャラクターのイラストなどの「絵柄のみ」で構成された商標を指します。 一方で、私たちがビジネスシーンで日常的に使っている「ロゴ商標」という言葉は、法律上の正式な分類ではなく、実態としては以下のいずれかに該当します。文字をデザイン化したもの:サービス名を独特な筆文字や特殊なデザインフォントで装飾したもの。

結合商標(図形+文字):独自のシンボルマークの横や下に、サービス名の文字を組み合わせて、一つのまとまったロゴとしてデザインしたもの。

つまりロゴ商標は図形商標の一種であり、デザインの対象が文字となっている商標を指します。

3. なぜ文字商標が基本となるのか?

商標制度の本来の趣旨は、「消費者がそのマークや名前を見たときに、誰が提供している商品・サービスなのかを間違いなく認識できること(出所表示機能)」を守ることです。

現代のビジネスにおいて、消費者はサービスを検索したり、SNSで口コミを広めたりする際に、必ず「言葉(文字)」を使います。「あの青い丸に白い線の入ったサービス」と検索する人はおらず、「〇〇というサービス」と名前で認識し、タイピングします。

したがって、自社サービスを根底から守るための強固な土台となるのは、言葉そのものを独占する「文字商標」です。一般的には、まず標準文字で名称を確実に確保し、予算に余裕が出た段階で、視覚的なブランドイメージを保護するための「ロゴ商標」を追加登録する、という方法が有効です。

ロゴ商標を優先して登録すべきケースはある?

基本は「文字商標」を優先すべきですが、ビジネスモデルや業種、あるいはネーミングの性質によっては、例外的に「ロゴ商標(図形商標や結合商標)」を文字商標よりも優先したほうがいいと考えられるケースもあります。

1. サービス名が一般的すぎて「文字単体」では審査に通らないケース

商標法では、「単に商品の品質やサービスの内容を表しているだけの言葉(記述的商標)」は、誰もが使う一般的な言葉であるため、特定の企業に独占させるべきではないとして登録が拒絶されます。

例えば、美味しいハンバーガーを提供するお店が「ハンバーガー」という文字商標を出願しても、ほぼ確実に審査を通りません。しかし、この一般的な文字に「独自のデザイン性が高いシンボルマーク」を組み合わせた「結合商標(ロゴ商標)」として出願することで、全体として商標登録が認められるケースがあります。「どうしてもこの商品・サービス名を使いたい・すでに使っているが、文字だけでは審査に通らない」という場合にロゴ化して出願することが有効となることがあります。

2. スマートフォンアプリが事業の主力であるケース

スマートフォンアプリの場合、ユーザーが日常的に最も目にするのは「ホーム画面の小さなアプリアイコン」です。この四角いアイコン(図形)が、サービスの顔としての役割を強烈に担います。 文字(アプリ名)以上に、視覚的なアイコンデザインで他社アプリとの差別化を図り、ユーザーに直感的にタップさせるビジネスモデルであれば、アプリのアイコンそのもの(図形商標)を優先して保護することを優先すべき場合があります。

3. アパレル、雑貨、飲食業など「視覚的デザイン」が購買動機に直結するケース

アパレルブランドにおいて、Tシャツの胸元やバッグにプリントされたシンボルマーク自体がブランドの付加価値であり、消費者がそれを見て購入を決める場合、そのマーク(図形商標)の模倣を防ぐことが最優先となります。 また、カフェや飲食店で、看板やテイクアウト用のカップに印字された独特のロゴデザインが「写真映えする」としてSNSで拡散され、集客の要となっているようなケースでも、言葉の響き以上にデザインの保護(ロゴ商標)が急務となることがあります。

4. 言語の壁を越えたグローバル展開を初期から見据えているケース

将来的な海外展開を前提とする場合、日本語の文字商標は現地の消費者にとって「ただの読めない記号」にしか見えず、ブランドの認知に繋がりません。世界共通で一瞬でブランドを認識させることができるのは、著名なスポーツブランドのマークのような「図形(ロゴ)」です。言葉の壁を越える必要がある事業領域では、初期から視覚的シンボルであるロゴ商標を優先する戦略が取られる可能性もあります。

一つしか登録できない場合の対処方法

ここまでを踏まえ、初期は複数の商標に費用をかけられない場合にどうすべきか事業フェーズに分けたロードマップ例を紹介します。

フェーズ1:リリース直後〜初期成長期(予算を極力抑えたい時期)

原則として「標準文字商標」だけ、区分を絞って登録する

前述の例外的なケース(文字だけでは登録できない、デザインが肝となる事業など)に該当しない限り、まずは権利範囲が最も広く、将来のデザイン変更の影響を一切受けない「標準文字商標」を取得します。

この際、徹底的にコストを削減するため、指定する「区分」は、現在展開しているサービスのコア事業(絶対に他社に取られては困る領域)のみに限定します。例えば、ITシステム提供のサービスであれば「第42類(ソフトウェアの提供等)」だけに絞ります。「将来やるかもしれないから」と周辺事業の区分まで含めると、特許庁へ支払う印紙代が区分数に比例して跳ね上がるため、初期は潔く切り捨てるのも手です。

フェーズ2:事業の安定成長・ブランド確立期(利益が出始めた時期)

「ロゴ商標(図形または結合商標)」の追加登録を検討

サービスが順調に成長し、ウェブサイトや広告、名刺などで使用している「ロゴマーク」が顧客に完全に定着してきたら、次のステップに進みます。事業利益から知財への再投資が可能になったタイミングで、視覚的なブランド価値を模倣から守るためにロゴ商標を追加で出願します。 この時期になれば、会社としてのデザインの方向性も固まっており、「登録したはいいが、すぐにロゴデザインを変えてしまって費用が無駄になった」というリスクも見通せるでしょう。

フェーズ3:事業の多角化・拡大期(資金に余裕ができた時期)

指定区分の追加、または周辺サービスの商標登録

フェーズ1で節約のために切り捨てた周辺事業の区分に対して、ビジネスの実際の広がりに合わせて権利を追加していきます。あるいは、主力サービスから派生した新しいサブブランドの文字商標やロゴ商標を次々と登録し、自社のサービス・ブランド群を面で形成して、他社が入り込む隙を塞ぎます。

まとめ

「文字とロゴ、どちらか一つしか選べない」という場合、9割のケースでは「文字商標(標準文字)」が正解です。文字商標は商標における基本です。

まずは最小限のコストで文字商標という基盤を作り、事業の成長が見えた段階でその利益や投資余力を使ってロゴ商標で守りを固めるという段階的なアプローチが、資金に限りがある中で最大限の防御力を発揮する、おすすめの方法といえます。

ロゴ商標と標準文字商標については、こちらの記事も参考にしてください。

ロゴ画像を商標登録する理由や必要性について解説

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